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花とムカデノエキ


 適当に音楽を流しながら朝食を作っていたら、アコギの弾き語りの曲がかかった。最初メレンゲの「ムカデノエキ」かと思ったが、声は志村である。換気扇の音がうるさいのでよく聴こえない。プレイヤーの表示を見たらフジファブリックの「花」だった。

 実は雑音にまぎれながら音楽を聴くのが結構好きだ。よく知っているバンドのよく知っている歌が空白だらけになり、それが想像力で繋ぎ合わされてまだどこでも流れたことのない新しい曲として夢想される。

 そんな風に「花」を聴きながら、こんな風に志村が「ムカデノエキ」を歌ったらきっとすごくいいだろうなと思った。というかフジファブリックの「ムカデノエキ」が「花」で、メレンゲの「花」が「ムカデノエキ」なんだろうな多分。お互いのバンドにとって同じポジションの曲だ。

 でもどこか似ているが全然違う。「ムカデノエキ」は全体的に虚しさが漂っている。何かが終わりを迎えた後の空虚さである。子どもっぽいなかに大人びたところがあるな。「花」はね、まだ終わっていない。現在進行形で進んでいるもののなかに、終わりの兆しを見出してしまう透き通った眼差しの切なさなのである。

 今一番美しいすがたで咲く花に散り行く未来を幻視するかなしさと愛しさである。「ムカデノエキ」では背伸びして無理矢理諦めようとしているが、「花」はもっと素直だ。せめぎあう思いがあふれて誰にも知られることなくこぼれ出していく。

 街に花の匂いがあふれてきた。どっちも好きだがこの頃はなんだか「花」が胸に響く。




  1. 2014/03/24(月) 15:48:50|
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