inkblot

20130324

 春が来た。暖かそうな日の光に騙されて凍えたりしている。新譜にクレジットがないことだとか、「ビスケット」の明るい音だとか、桜がもう満開なことだとかが、心に鈴なりに刺さっていく。そんな心でまどろむように暮らしている。なんとなくわすわくするけど、なんとなくそれより寂しいのな。街を袴姿がそぞろ歩いている。

 春になったから手紙が書きたい。便箋は小町通りのあの店の一番いいやつで、万年筆はモンブランで、インクは銀座の伊東屋で買った露草で、住所は富士吉田にしてウソばっかりしたためたい。一世一代の大ウソで。字が汚いのは見逃してほしい。インクも何故かすぐにじむ。やあやあ、どうも、お元気ですか。こちらはまだあの日の続きにいます。

 どんなホラを吹こうか。そうだ、この前観たペルシャのイスラーム神秘主義集団が昔托鉢に使っていた不思議な鉢の話がいい。黒檀のような黒い木に白い木が象嵌されていて、鉄の鎖がついている。くびれの緩やかなピーナッツのような、木のうろのような風変わりな形をしていた。ああいう器のことをカシュクールと言うらしいのだが、調べたら「胸を隠す」という意味のフランス語の婦人服が出てきたので困る。おい志村、変な想像するんじゃねえ。つうかどうでもいいのだが、前々から「冬でも素足の女子高生がいい。ストッキングなんて論外」という志村の発言に納得がいかない。いや、セーラー服に黒タイツだろ。絶対にそれが最強だ。いつかその件についてじっくりと議論したい。数年来の願望である。

 新譜に踊らされながら、その中の寂しさや怯えを鷲掴みにしたい。同じようなものを持っているから、見逃しはしない。手放しはしない。

  1. 2013/03/25(月) 14:28:03|
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