inkblot

20121124


 目白が死んだ。家の窓硝子にぶち当たって死んだ。前にも窓にぶち当たったのはいたが、しばらく休ませていたら元気になって帰っていったからまさか死ぬのがいるとは夢にも思わなかった。もう少し骨格が丈夫だったら死なずに済んだだろう。母親が紙に包んで焼却炉に放り込んだ。小生は大学へ出かけた。

 家に帰ってコートを脱ぐと、朝の小鳥のことがなんとなく気になった。燃したのかと訊くと段ボールが千切れなかったのでまだだと云う。積んであるボール紙を千切ると母親が火を付けた。外は冷えたが焼却炉の前だけは暖かいので火が消えるまではいられそうだった。紙屑はあっという間に灰になっていく。もうそろそろおしまいかと腰を浮かしかけたが、焼却炉の中がすべて灰になってもまだ奥で何かが燃えている。そうか、死骸がまだ燃えているのか。藤色がかった炎が細く上へ上へと伸びていく。やさしい黄緑色をしたか細い骨の小鳥が、生まれてから今まで見てきた光景を抱えて灰になっていく。火が消えるのを待って家に入った。

 少しずつ勉強していくにつれて、どうやら理論的に死を無効化することはできそうだと分かった。エリアーデは難しかったが大変ためになった。死は理論面でクリアできる。おそらく。

 しかし心の面で同じようにクリアできるかといったら話は違ってくる。虫や鳥の体があまりにも脆いこと、大学生だった頃の西山達郎のまだ子供っぽい歌声がまだ残っていること、誰かがもういないということ。アポリアはアポリアのまま、冷たく溶け残ってそこに存在し続けるだろう。

 また冬がやって来た。



  1. 2012/11/24(土) 23:37:47|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<初恋の嵐 at Shibuya-AX | ホーム | アンディとハーブ続き>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kirschrot.blog40.fc2.com/tb.php/522-a5577a34
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)