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2012.2.14 対バンの嵐 at 新宿LOFT その1



 寂しい天気だった。待っていれば雨もやむんじゃないかと思っていたが、出かける頃には土砂降りだった。諦めて家を出て、電車の中で『クローム襲撃』を開く。読んだのは「ホログラム薔薇のかけら」から「辺境」まで。「辺境」を読み終わったら気分が悪くなったのでやめた。色々考え込んでいる時にSFはよくないということを学習した。

 ロフトは行ったことがあるから大丈夫だろうと思ったがむちゃくちゃ迷った。ほとんど半べそかいてたが、三人くらい(居酒屋の派手な呼び込みのお姉さん含む)に道を訊いてやっと辿り着いた。都会なんか嫌いである。まあ着いたころには整理番号の意味とかなかったよな。

 穴倉のような店内を進み、市松模様のフロアに出る。幸い平日だったので、時間通りに入場しているのは暇な大学生か主婦くらいでまだそこそこ前の方で観れそうだった。ステージにかかった黒幕にはプロジェクタでイベント名が映し出されている。SEで流れているのはなんとなく聴いたことがありそうだが知らない洋楽だった。このバンドがスウェーデンのアトミック・スウィングだと知ったのは後になってからのことである。西山が愛聴していたバンドだという。

 ガチガチになっていたので待ち時間が非常に長く感じたが、開演時間を少し過ぎたところでSEとプロジェクタが消え、幕がゆっくり上がった。出て来るのはもちろんもっちゃり兄弟とエマーソン北村、北山ゆう子である。兄は青地に白いかもめのプリントのTシャツ、弟はグレーの長そでのグッズのTシャツを着ていた。

 楽器を手に取り、のんびりとリズムを取りながらもっちゃりと曲が始まる。一曲目は「雨音」だった。決してよく聴く曲ではないんだが、ライブで聴くとむちゃくちゃよいのだから驚きである。一曲目からすごい満足感があった。早い。さすがにまだ早い。

 二曲目は「ハナレバナレ」。音源で聴くとちょっと重たいが、ライブでは兄が淡々と歌うので不思議な感じである。兄の声が気持ちよく伸びていく。音源の重さに対して、もっちゃり兄は能天気そうにすら見える。へんないきものである。


兄:今日は初恋の嵐のイベントに出させてもらって嬉しいです。みんな知らないと思いますけど、ぼくたちキセルって言って、(笑いが起こる) ぼくらはいいですけど初恋の嵐は本当にええバンドなんで。。。楽しんでいってください。


 もっちゃり兄のMCはいつも大体自虐的である。ちなみになんで初恋の嵐が対バンにキセルを選んだかと言えば、ベースの隅倉ともっちゃり兄が斎藤和義のサポートをやっているからである。


兄:(もっちゃり弟の方を見て) なんか痩せたな。

弟:昨日も会いましたやん!苦笑 

兄:いや、会ったけど。。。なんか今見て改めて「痩せたな」思った。。。。

(笑いが起こる)

兄:キセルは8割は今みたいなもっちゃりした曲ばっかなんですけど、数少ないちょっと速めの曲をやろうと思います。まあ速めって言っても大したことないんすけど。。。笑 「ねの字」という曲です。


 もっちゃり兄のもっちゃりした前振りから「ねの字」が始まる。数少ないアップテンポの曲である。この間この曲を聴いた時は終わった後、兄が疲弊しきっていたが大丈夫か。

 その次も「サマーサン」と珍しくアップテンポが続いた。どちらもなんかポコポコした曲である。「サマーサン」は初めて生で聴いたがやっぱりいいな…… 『magic hour』は名盤だ。全曲ライブで聴きたい。しかしキセルもライブがいいバンドである。

 もっちゃり兄弟がお互いに目で合図し、口笛を吹き始める。「手紙」だ。キセルはもっちゃり兄弟の声の混ざり方が最高だ。音源もいいがライブは尚の事いい。違う声なのに根本は同じ声だ。それが重なることによって輪郭が溶け出していく。夕闇に全てが溶けていくようだ。

 どうでもいいんだが、なんとなく今日のもっちゃり兄弟は弟がむっつりしているように見えた。曲をやっている最中、兄はしばしば弟の方を観ているんだが弟は必要がある時以外ほとんど見ない。MCもなんとなく兄に対して冷たいような印象を受ける。喧嘩でもしてんのか? まあライブ自体はめちゃくちゃよいのでどうでもいいが。しかし弟はしっかりしているように見えて天然なので、案外何も考えていないのかもしれない。やっぱり今回もMC中なぞの手つきをしていた。手持無沙汰なのは分かるがはっきり言って謎である。あと弟は必ず水筒常備なところが家庭的である。きっといい主夫になるだろう。


兄:そろそろ終わりなんですけど。。。新曲をやりたいと思います。「さめないの」というタイトルです。


 タイトルはぶっちゃけ「さめがいる」と聴こえた。でも多分上ので大体合ってるんだろう。のんびりした曲だったが、その後ろにうすら寒くなるような怖いものが隠れているような曲だ。「空はこんなに空なので 海がこんなに海なので」というような歌詞だった。もう一度聴きたい。

 そして最後は「柔らかな丘」だった。縦に横に世界が広がっていく。広げられた世界はあっという間に雲散霧消してキセルは去って行った。7曲はどう考えても短かった。しかし満足である。ワンマンを観に行きたい。




SET LIST

1. 雨音
2. ハナレバナレ
3. ねの字
4. サマーサン
5. 手紙
6. 新曲
7. 柔らかな丘




  1. 2012/03/29(木) 14:49:31|
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