inkblot

絵葉書1

 キセルを聴いていたら、こんな話が書けた。また分かりもしないのに無駄に京都弁を頑張ってみたが、全然違ってるだろう。。。誰か京都人はいないか。。。。

 前に部活の同期がボーカロイドの「メルト」とかいう曲をノベライズしていたが、じゃあこれはキセルの「ピクニック」のノベライズかもな。小生はあのボカロの曲は部室で耳から血が出るほど聴いたが、本当に歌詞がひどいよな。苦笑 お花の髪飾りが云々というくだりで「昭和か!」とツッコミを入れたくなる。やつのノベライズもそんな出来だったな。

 賞に出す長編を書いていて余力がなかったとかは言い訳にならんよ。部誌に載せるんなら、他人に読ませられるレベルのもんを書けよな。いや、これは自戒である。最近ゴミみたいな文章しか書いてないもんな。。。。情けない。






絵葉書


 絵葉書を買った。正確にいえば買わされたのかもしれない。通りがかりのさびれた文房具屋で買った。初めて入った店で買った。棚は埃をかぶっていた。絵柄も見ないで、勧められるままに買った。店主の顔は皺だらけだった。皺が迷路みたく見えた。何枚か買った。考えてみれば枚数もわからない。まあ値が張るもんでもないし、ええんちゃうかと思ってたらたら家に帰った。玄関のドアを開けようとして、鍵がかかっていることに気付く。弟はまだ大学から帰ってきていなかった。


 弟とはそれなりに歳が離れているが、未だにずるずると大学に居残っている僕とは今では学年が二つしか違わない。ええ加減な僕とは違ってほんまに真面目なやつである。きっと今も真面目にきちきち講義を受けているんやろう。僕は今日、二つばかしさぼった。天気がいいと外を意味もなくぶらぶらと歩きたくなる。雨が降っていると家で窓の外を眺めたくなる。今日は早く帰って昼寝がしたかった。もし弟が家におったら大学をさぼったことも、またくだらんもんを買ったこともうるさく言われたやろう。大学進学でやっと親元を離れられたと思ったらこれだ。やれやれやな。僕は自分の部屋に入った。

 かばんを放り出してベッドの上に転がったが、そういえばさっきぶらぶらしていて買った絵葉書を見てみようと思った。ひとねむりした後でええかと思わなかったところがえらい。なんかそんな気分やったんやな。むくりと体を起してかばんを引き寄せる。活字の細部が潰れた文房具屋の銘のスタンプが入った紙袋の中身は確かに数枚分の厚みだ。セロテープの封を解いて取り出す。一番上にあった一葉に妙に引き込まれた。どうやら南国の島の写真のようやった。くすんだ水色の波の上に、くすんだ象牙色の砂を盛ったような小さな島が浮いていた。真ん中に椰子の木が一本立っていた。南国らしいのに、天気すらもくすんでいておかしな写真やな。ふざけて葉書の中に手を突っ込んだら勢い余って写真の中に落ちてしまった。砂の上でお尻をしたたか打った。痛いな……

 あたりを見回すと、絵葉書の島はほんまに小さかった。十人が腰かけたらおしくらまんじゅうみたいになるやろう。その様子を思い浮かべながら僕は思った。真ん中に立っている椰子の木が潮風にしなっている。たぷたぷたぷたぷ。波の音は単調だが殺気に満ちている。暇やな…… 所在なげに踏み出した足が何か硬いものを踏んだ。釣り竿である。半ば砂に埋もれながら、釣り道具が一式転がっていた。

 たぷたぷたぷたぷ。いそいそと釣り糸を垂らす。釣りか…… そういや田舎におった時はよくやったけど、最近はさっぱりやな。近所の川で日がな一日やった。最初にザリガニを捕まえておいて、そいつをばらして餌にするのである。よく釣れた。そのうち、ちょっと足を延ばして山の上流の水の綺麗なところにも行くようになった。今度、近所に釣り堀を探しに行こう。

 たぷたぷたぷたぷ。こう見えて、釣りは上手い方だ。海は荒れているが、ぼちぼち釣れた。銀色の。青みがかったの。黄色いの。赤いの。縞の。どれも南国の魚だからか、見たことのない魚やった。釣った魚は傍らの大きなブリキのたらいに水を張って泳がせた。うろこがぴかぴか光って綺麗やった。

 そのうち腹が減ってきた。そこらに転がっている流木を集めて、焚き火を熾す。こういう時、いつもライターを持ち歩いている煙草のみは便利である。弟にも言い返してやらんと。釣りの何がいいかと言えば、暇つぶしになるし食事にもなる一石二鳥なところやな。くちぶえを吹きながら釣った魚を木の枝に突き刺して焼いた。種類は分からんけど、どれも食べられそうな魚やった。魚が焼けるのを待つ間、一服した。小言をいう奴がいないと、いつもよりたばこも美味い。魚はおおかた白身で、ほんのりと塩味がする。思いのほか脂が乗っていて旨かった。

 ひとしきり腹を満たした後、やはり暇なので釣りを続けた。何しろ腹がいっぱいやから、ええ加減なものである。あまり釣れなかった。

 たぷたぷたぷたぷ。ウトウトしかけていると、いきなり竿がぐっとしなった。大物だ。いそいそとリールを巻くと、海から上がってきたのは青く冷えたサイダーの壜だった。魚の塩気でのどが渇いていたので丁度いい。サイダーを飲みながら、たらたらたらたらと釣りを続けた。さっきまでが嘘のように釣れない。まあ、あんまり釣れても困るからええかなと思っていると、ふたたびぐっと竿がしなった。またサイダーやろかと思って引き上げると、一枚の絵葉書だった。何の写真やろう。よく見ようと思って手を伸ばして触ったら、また葉書の中に落っこちてしまった。



続く


  1. 2011/10/03(月) 10:00:47|
  2. 短編
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<絵葉書2 | ホーム | アート>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kirschrot.blog40.fc2.com/tb.php/362-c315c737
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)