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大人の科学


学研が憎い。大人の科学! あれはれっきとした不良品である。


 どんな書店を覗いても、それは必ず隅に積み上げられている。何故かあれを目にすると、燃えずにはいられないのだ! 視覚面において何か特殊な細工が施されているにちがいない。おそらく、客の購買意欲を飛躍的に上げる、サブリミナル効果を応用したものであると私は推測する。

 ここで仮に、学研が悪用した科学の力に惑わされて、ほくほく顔で「ベルリナー式円盤蓄音機」なんぞを大事に抱えて家に帰ったとする。あなたは箱の内容物を見て、希望が崩れ去っていく音を聴くことになるだろう。

 見ると、台座は確かに金属製のどっしりしたものである。しかし一体何であろう、この紙コップとちっちゃいどん兵衛のカップみたいな発泡スチロールのきれはしは? それでも気を取り直してなんとか組み立ててみよう。もし、組み立てる際に部品を破砕してしまう危険のある人は、大事をとってそのあたりに居る手先だけは器用な隣人を捕まえて作らせてみよう。

 とりあえず完成したベルリナー式円盤蓄音機を見て、あなたは感慨もひとしおだろう。説明書によれば、同梱されていたぺらいプラスチックのシートをセットして、好きな音を録音し、再生することができるらしい。あなたは輝かしい第一号をどんな音にするか考えあぐね、2時間ほど浪費した挙句、飼い犬の無駄吠えで試してみることにする。スイッチを入れた途端、シートは力強く回転する。そしてその上を針が音を刻み込んでいく。

           ・・・

 それから大体1時間もしないうちに、ベルリナー式円盤蓄音機らしきものはゴミ箱に叩き込まれていることだろう。たしかに「ベルリナー式円盤蓄音機らしきもの」は「ベルリナー式円盤蓄音機」としては機能しなかったかもしれない。だが、これまで彼はあなたに感動と興奮と少年時のようなわくわくを与えてくれた。それだけでも十分ではないだろうか? まあ、問題はそれが6000円だか7000円の「感動と興奮と少年時のようなわくわく」だということなのだが。

 学研許すまじ! 大人の科学など二度と買うものかと、「ベルリナー式円盤蓄音機」にいたく傷付いた私は、傷心を癒すべく店頭で見かけた新たな商品を購入した。


 大人の科学マガジンである。


 大人の科学マガジンの良い所は、安価であることである。安価ゆえに、「付録」のピンホール・カメラやらプラネタリウムやらテルミンやらは、構造がシンプルに設計されており、組み立てられないということはまずない。安心である。今度こそ、失敗はない。

           ・・・

 おのれ学研、許すまじ!!! プラネタリウムは結局電気スタンドになった。テルミンは善意の手助けを得て、組み立てまでは完成したが、チューニングが合わせられず、しょうがないので何かの祭りでお化け屋敷をやった時に効果音として活用した。ならば組み立て不要であれば問題なかろうと「探偵スパイセット」購入した。あれはなんと言うか、それ以前の問題であった。


 もう二度と学研の商品を買ったりはしない。もう「科学」にはこりごりだ。更なる癒しを求めて、今はホウネンエビの飼育キットの購入を検討している。

  1. 2009/09/01(火) 23:11:52|
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