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天才の生まれる条件


 原正彦の持論で、天才数学者の生まれる条件というのがある。第一に、神や伝統など何かにひざまずく心を持っていること。第二に、子どもの頃から美しいもののそばでそれを見て育つこと。第三に、芸術や宗教など役に立たないもの、精神性を尊ぶこと。以上である。例えばインドが生んだ大天才・シュリニヴァーサ・ラマヌジャンはヒンドゥーの神にひざまずき、古い美しい寺院が多く残るタミルナドゥ州で育ち、熱い信仰心を持っていた。

 ところで私はこの条件は音楽家にも当てはまるのではないかと思っている。特に美しいもののそばで育つというのが重要だと思う。藤原正彦もそう言っていたか。日本のロックバンドには当てはまるやつが何人もいるじゃないか。

 例えば、くるりは京都出身だ。ボーカルの岸田繁は京都市北区出身である。京都は古く、そして美しい街だ。キセルも同じく京都府の宇治市出身。京都は言うまでもないほど長い時に耐え抜いた美しいものがあふれている土地だ。京都出身の彼らの音楽はその奥に何か本能的に怖れを抱かせるような深く黒いものがある気がする。

 メレンゲのクボケンジは兵庫県宝塚市出身。彼の地元には聖徳太子ゆかりの名刹・中山寺がある。自然は多い所のようで、家の裏の山でよく遊んだと言っていたな。手塚治虫も宝塚で育っている。

 そしてフジファブリックの志村正彦。彼は富士山に抱かれた山梨県富士吉田市の出身である。日本を象徴するあの美しい山に見守られて育ったというのは、彼の作品に触れれば妙に納得のいく話だ。

 こうして挙げた人はみんな四季の移り変わりに敏感で、失われていくものの儚さと美しさを知っている情緒豊かな作品を作る。彼らの作品はむしろ文学であるとさえ思える。そうして彼らは謙虚でもあると思う。






  1. 2011/03/11(金) 10:39:28|
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