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ニッチ

 の間、メレンゲとキセルの対バンを見て来たが、その時から何だか釈然としない気分である。ライブ自体は素晴らしいものだったが、逆に……むしろ素晴らしかったからこそか。

 メレンゲもキセルもどちらも一見ポップに思えるが、他に似たもののない独特の世界観を持つバンドである。ポップソングというと無限に代わりがいる使い捨ての音楽みたいに思えるが、彼らの代わりはいないということは断言できる。にも関わらず、その日の客の入りは少なかった。ゆったりして見やすかったといえば確かにそうだが、どう考えてもあのメンツならもっと入っても全くおかしくない。先発のキセルが終わると、メレンゲを見ずに帰ってしまう人がいたのも気になったが。……釈然としない。彼らのやっている音楽のクオリティー・世界観に対してその知名度があまりにも低すぎる。報われていない。

 キセルもメレンゲも大雑把に分類すればポップということになるだろう。そこが問題なのである。本来、彼らの音楽はカテゴライズし得ない音楽だ。なのに無理にジャンル分けしようとするからよくないのである。ロック・リスナーは「ポップだから」と敬遠し、ポップ・ミュージックの受容者たちは「マイナーだから」知らなかったり敬遠する。レコード会社は「よりポップな曲を」と枠に収まることを要求する。全く馬鹿馬鹿し過ぎて笑うに笑えない。

 「ロック」って何なんだ。それっぽい音なら全部「ロック」か。ロキノンでプッシュされれば「ロック」か。違うだろう。これだけサウンドが多様化した現在、ロックという言葉を繋ぎとめているものはなんだ。耳を傾けるところは、そこじゃない。

 この間、レコード屋でレジに並んでいたら目の前の制服の少年が数枚のCDを持って立っていた。彼の持ち方でなんとなくそれがアルバムなのが分かる。ちらっと自分の手の中を見る。シングルが一枚。金あるんだなと思ってその少年が会計を済ませるのをぼんやり眺める。バーコードを読み込む時に見えたジャケットにはアイドルが映っていた。子どもから1万むしり取って、いい商売ですね。

 今、本当にいい音楽が届かない。ひねくれ者なので、愛聴しているバンドが誰もが知っているアーティストになってしまうのは嫌だが、彼らが報われないのはもっと嫌だ。正当な評価を受けることができていないのはもっと嫌だ。音楽は小説と違って、製作過程でかなりの費用がかかる。正当な評価がないということは、製作環境や作品のクオリティ、発表の場にまで影響が及ぶ。

 ファンからすれば、じっくり見られるキャパで物販でも会えるしこれくらいがちょうどいいなんて思ってたりもするのかもしれないが、それでいいのか? あなたが聴きたかった音楽は、あなたが必要としていた音楽は、そこにあるかもしれない。我が身を振り返っても、出会いたかったのに出会えなかった音楽はもうすでにたくさんあるんだろうなと思う。出会うのが遅かった音楽もたくさんある。もっと能動的にならなくては。たくさんの仕組みを見透かさなくては。

 それにしても、キセルの「magic hour」、名盤である。私は確かにこんな夢を見たことがある。と言いつつ、Killing Boyは多分買わない。売れそうなやつ(売れてるやつ)はあまり買わない主義だ! その軍資金をもっと他のところに回すべきだと思うからである。しかし、29日が楽しみだ。





  1. 2011/03/10(木) 10:15:16|
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コメント

星の出来事はポストロックとポップスが奇跡的なバランスで融合した名盤だと思います。
でも融合しすぎて何回も聴かれないと、そのポストロックの部分が気づいてもらえないっていう、悲しい運命を背負った作品なんですよね。。。
  1. 2011/03/10(木) 22:21:10 |
  2. URL |
  3. shingovich #-
  4. [ 編集 ]

Re:

分かる! すごくマニアックなものとポップなものが止揚したような感じとは思ってましたが、ポストロックか。。。ポストロックはちょっと疎いので分からなかったですが。苦笑 なるほど。コメントありがとうございます。メレンゲは音楽性もライブもどこか意表を突くところがありますな。この間もライブの余韻に浸りつつツイッターを見たら、真っ先にクボの「お米が髪についてとれない。。。。」というツイートが目に飛び込んで来て、目が覚めました。苦笑
  1. 2011/03/11(金) 21:19:02 |
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  3. 北田 #-
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