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2011.3.5 UNDER THE INFLUENCE at LIQUIDROOM メレンゲ編

 たもやクラブっぽいSEがかかる。それが緩やかにジャンルが変わっていき、30分かそれ以上かかってようやくメレンゲが選びそうな曲になった。今かと雑談でさわさわとしているハコの中で息を詰めて待つ。ローディーが楽器をチェックして鳴らす無造作な音がSEと混ざって緊張感を高める。

 ベースのタケシタから始まってメンバーがステージに現れる。最後のクボは片手を高く上げて現れた。長身のメレンゲが来ると、天井が狭く感じた。

 一曲目は「メモリーマン」。イントロで藤田がナットを越えたところのネックあたりの弦を爪弾いて不思議な音像を生み出しているのが印象的だった。メレンゲはスモークを十分に焚き、ライトを乱反射させていて、照明の雰囲気が非常によかった。しかしなんだか無性に聴きたくなる曲だ。ここ最近、無意識にもう今はいないものを未練がましく思っているからか。クボの声がよく出ていて、「シンメトリー」のように気の弱そうな声ではなく迫力があった。それにしても、クボは髪が伸びて志村みたいだった。アンガールズにも見えた。でもたまにクボに見える。まるで万華鏡のようである。しばらく、混乱した。


クボ:キセルのお兄さんがメレンゲのイベントって言ってはったけど、違う。
ツヨシ:(すまなそうな顔で)そう、お兄さんよく言ってたけど……
クボ:違う。まあ、先に声かけてもらったのはこっちの方で、「誰とやりますか」とか話し合って「じゃあキセルさんと」とか、そういう話はしたけど。


 あれ、もっちゃり兄の勘違いだったのか! もっと交流をはかれよ! 対バンを機に仲良くなれよ! まあ、両バンドとも友達作りが苦手そうなバンドだが。

 2曲目は「ムーンライト」。震える。フジファブリックにも同名曲があるが、歌詞の内容は全く違うのになんとなく同じ匂いを感じた。夢から覚めたように、歌詞もよく覚えていないんだが、童話のようなシーンの断片とサビのフレーズだけバラバラに頭に焼きついた。ムーンライト、あの子の頬を照らせ。

 3曲目は「ソト」。ここで聴けるとは……声の張りつめ方が違う。「ソト」は志村も一緒に歌ったんだよな……家に帰って特設サイトの写真を見て、クボがサルエルを穿いていたことに気付いて水を浴びせられたような気分になった。

 多分、ここら辺でMC。


クボ:今日は盛り上がらない対バンだから、
ツヨシ:ひどいな! なんかまるで今日のメンツが、ねえ!
クボ:そうじゃなくてほら、みんな静かに聴いてくれるお客さんやから、逆に楽しい。オレら、元気をあげなくてもいいから。
ツヨシ:(苦笑して)まあ俺たちそういうの、あんまり得意じゃないからね。
クボ:(わざとらしく)すっごい楽!


 こ、こいつ! 客にあてこすってるYO!! いや、クボンゲがオーディエンスにむちゃくちゃノリを求めてることは知ってるが。そりゃあ見た目はまあ地味だけども、心の中はモッシュピットだって。よく「クボと志村は兄弟みたいだ」と言われるが、それがよく分かった気がした。

 クボはアコギに持ち替える。試しに弾いたリフが「タイムマシーンについて」っぽかったので期待したが、「underworld」だった。どっちでもヤバい。2010年から音源とは違う新しいアレンジになった「underworld」……聴きたくない訳がない。声が刺さる。甘い声だと言われることの多いクボだが、惑星ごと射抜かれるようだ……2番から加速してよりグルーヴが高まっていく。

 そして「8月、落雷のストーリー」、「アオバ」と続く。どちらもむちゃくちゃポップな曲だと思っていたが、そうじゃなかった。そんな生ぬるいものじゃなかった。どんなロックバンドよりもエモーショナルでロックだった。昔はロックなんてよく分からなかったが……今まで見たどのバンドよりもロックだった気がする。あんなに優しいポップチューンを、こんなに強く歌えるのか。これだけは、生で聴かないと分からないと思う。パッケージし得ない音楽だった。この2曲のライブ音源を聴いたことはないが、確実に以前と違うものなんだと思う。確証なんかないが確信できる。

 「アオバ」の後のMCでは、クボはMCの途中でチューニングに集中し始め、タケシタに「伸ばして」と振って真剣な顔でチューニングに専念する。いきなり振られたタケシタはサポートの二人(藤田・横山)を紹介するが、それを終えて「どうですか」とクボに振り戻すと、「ふん……」みたいな薄い反応だけで、間髪入れずに「忘れ物」を始めた。えーっ! クボンゲひどいぞ。

 「忘れ物」から「二つの雨」の流れもすごかった。クボ以上に感情をむき出しにして歌うやつがちょっと思い浮かばなかった。それでなおかつ美しいという。シロップ五十嵐はどちらかと言うと単なる躁状態みたいだからな。

どこで言ったのか忘れたが、MCは、


クボ:東京ではまだ言ってなかったけど、新譜が出ます。すごいいいのができた……ぜひとも口コミで広げていってほしいと思う。
ツヨシ:口コミの力はすごいからね。笑
クボ:友達みんなに言ってほしい。


クボ:オレらインドア派だから。
(笑いが起こる)
クボ:女の子とかよく「インドア派」とか言うでしょ?
ツヨシ:あー、森ガール的なね。
クボ:よくプロフィールに書いてあったりして。でも、格が違うから。
(爆笑)
クボ:そんな、オシャレ的な感じで言ってるでしょ? 格が違う、ほんとに。オレ、ずっと家いるからな。
(爆笑)
クボ:次元が違う、次元が。(ドヤ顔)


クボ:ほんと、すごいいいアルバムになったから、……
(そのまま固まる。30秒くらい)


という感じだったと思う。フリーズした時は大丈夫かと思った。言おうと思ったこと、忘れちゃったんだな……

 クボがサンバーストのテレキャスに持ち替える。2006年くらいに志村から譲り受けたやつか? あれってマスタービルトなんだろうか……などと思っていると、「うつし絵」が始まった。宇都宮では歌詞が一箇所ぶっ飛んでいたので緊張しつつ聴いていたが、ひとつも飛ばなかった。鬼気迫る感じだった。背負うものが違うのだと思った。ものすごくアグレッシブだった。デカいくせにどうしても頼りなかったクボの姿が、頼もしく見えた。

 再び青いテレキャスに持ち替えて、ラストの「アルカディア」。曲調は明るめだが、泣けるのはなんでだ。最後にクボが飛んだのが忘れられない。天井、狭いな……

 あっという間に終わった後も、アンコールの拍手は鳴り止まなかった。キセルもメレンゲももっと観ていたかった。いい夢を見た後のような気分だった。







SET LIST

1. メモリーマン
2. ムーンライト
3. ソト
4. underworld
5. 8月、落雷のストーリー
6. アオバ
7. 忘れ物
8. 二つの雨
9. うつし絵
10. アルカディア








  1. 2011/03/08(火) 16:21:28|
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