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2011.3.5 UNDER THE INFLUENCE at LIQUIDROOM キセル編

 レンゲとキセルのありそうで今までなかった対バンを見てきた。

 家でだらだらしていたら少し遅くなり、挙句の果てには恵比寿で迷った。明治通りが見つからないのである……通りがかったオートバックスに暇そうなやつがいたので、道を訊いた。職人気質っぽい頑固そうなおっちゃんに明治通りを教えてもらってなんとかたどり着いたが、もうとっくに開場していた。整理番号、7番だったけどな。無意味だぜ……しかし割と見やすい場所がまだ空いていたので、結局整理番号はどうでもよかったような気がする。そういえば、前にリキッドに行った時も道に迷ったな。その時は開演1時間後に着いたので、それに比べれば上出来だ。まあ、ミドリカワ書房を見に行ったんだが……入った時にやっていたのが、「おめえだよ」で鳥肌が立った。

 客はやはり女性が多いんだが、男もいくらかはいた。メレンゲはよく、「メレンゲの男のファンは隠れキリシタン」とか言っていたが、これだったら踏み絵じゃないなと思った。しかし、メレンゲとキセル、どちらが先か……? なんだかメレンゲが先っぽい感じもするが、キセルが先の方がいいな……などと考えていても待ち時間は減らなかったので、落ち着きなく本を読んだりしていた。

 今まで延々と流れていたキセルもメレンゲも絶対に選びそうにないクラブっぽいSEが止み、ふっと客電が消える。さあ、どっちだと目を凝らしてステージを見つめた。現れたのはキセルだった。小柄な辻村兄弟とサポートのエマーソン北村(キーボード)と北山ゆう子(ドラム)が上手から現れる。というか、みんな小柄である。1曲目は「タワー」。予習不足で知らない曲だった。兄の声は奇麗な声ではないが、柔らかくふわふわしていて心地よい。曲を終えて、

兄:こんにちは、キセルです。
弟:今日は初めての人も多いと思いますが、
兄:今日はメレンゲさんの企画やから、そうか……僕が兄でギターで、弟がベースで、
弟:こんなもっちゃりした感じでやってます。
(笑いが起こる。兄は何か言いあぐねて沈黙)
弟:ほら、もうもっちゃりし始めてるで。曲いこ!

といったようなことを言っていた。もっちゃり! もっちゃり兄弟はなんだか動物みたいで不思議ないきものだった。特に兄が。(より)もっちゃり兄と(やや)もっちゃり弟である。キャラがいかす。

 2曲目は「方舟」。予習している時はピンとこなかったのだが、生で聴くとすごくよかった。3曲目は「ねの字」。初めて聴いたが、珍しくもっちゃりしていない曲だ。ポンポンと跳ねるようなテンポの曲。

兄:今のが今日やる曲で一番テンポが速い曲やったな。

と言っていたが、でもあの空気感がよい。4曲目は「手紙」。確か、ここからサポートの2人が引っ込んでこれ以降は兄弟だけでやった。兄弟で目で合図しながら口笛で始まる。キセルはよく口笛を吹いていたな。「夜間飛行」は兄が手癖のようなリフを繰り返して弾き、それを機械で再生して生の別のリフと被せていき、深遠な音像を作り出していくのが鳥肌ものだった。2人だけだから、機材や楽器の使い方が逆に自由で面白い。そして兄弟だから声が似ているというのがとても活きている。コーラスの重なり方がいいのである。似ているようで少し似ていない、でも結局似ているもっちゃり兄弟である。

兄:今日はメレンゲさんのイベントに出させてもらって。メレンゲさんとは初対面なんやけど。あでもプライベートで引っ越しの時に、ベースのツヨシさんに手伝ってもらったな。初対面なのに。東京で引っ越すのが初めてで、大変やった。京都から東京に出てきた時は荷物が少なかったからよかったんやけど……レコードがいっぱいあったから。大きい段ボールもらってきて。
弟:あー、いっしょにもらいに行きましたわ。
兄:結構入るからいっぱい入れたら……考えてなかった。でもツヨシ兄さんは嫌な顔ひとつしないで、大変な時期やったと思うけど……大変な時期って分からんけど。(笑いが起こる)
弟:もっと要点つまんで話さんと!
兄:要点つまんどるで。
弟:京都から出てくるくだりとかいらんかったと思うで。
兄:まあ、そこはな。
弟:告知とかしたら?
兄:5月にB面集が出ます。廃盤になってるのが結構あるんで……初めてのお客さんが多いのに、B面集って微妙やな。
弟:そんなことないと思うで。案外そういうの関係なかったりするで。
兄:そうか? ……まあ、その中に入る予定の曲で、原田知世さんに書いた「くちなしの丘」という曲をやります。

 「くちなしの丘」は一番聴きたい曲だったので嬉しかった。原田知世の方はPVを見たが、あんなに険のある人だとは思わなかった。なんとなく品もないし、怖いので嫌だ。キセルのいいところがない。生で聴いた「くちなしの丘」は最高だった。これはCD欲しいな……

 MCはどこでだか忘れたが、

弟:もっちゃりしてるなー。
兄:(反論して)自分ももっちゃりしてるで。
弟:見た目は自分の方がもっちゃりしてるで。

兄:今日はメレンゲさんと対バンやから、もっとロック・キッズが多いと思ってたけどそうでもないな。
弟:ロック・キッズって何やねん。

 後、兄がしゃべっている間に弟は首に巻いたタオルをキリキリねじり上げたり、手をこれから歌い始めるかのような組み方をして、兄に「鬱陶しいからやめてくれん」と注意されていた。が、基本的にはぼんやりした兄としっかりものの弟という感じだった。恰好もTシャツの兄に対して、弟はチェックのシャツをきちんと首までとめていた。髪型も弟はサラサラだが、兄はほわほわしている。まさか、キセルが見ているだけでこんなに面白い連中だとは思わなかった。そもそも、曲を聴いて動いているのをみると、この二人が普通に日本語をしゃべるのが不思議でしょうがなかった。しかも、関西弁で漫才みたいな掛け合いをする。むちゃくちゃ面白いじゃないか…… 参りました。

 「ひみつ」は弟が歌い始め、後に兄が加わるという曲だった。弟も兄ほどもっちゃりした声ではないが、似具合と似てなさ加減が絶妙だ。次の「夜の名前」は3番目に聴きたい曲だったのでイントロを聴いた瞬間、心の中でガッツポーズであった。ちなみに、2番目に聴きたかった曲は「ビューティフルデイ」である。そういえばこの日、兄は一度もギターを持ちかえなかった。

 キセルは一見優しげで心地よいのだが、その奥に名状しがたいとても怖いものを感じる。何か正視したくないような怖ろしいものを。でも、「夜の名前」はそういった陰りがあんまり感じられない。ちょっと明るめな曲である。

 最後の「ギンヤンマ」では再びサポートの2人を呼び込む。何故か、拍手の音が大きく複雑な気持ちになった。もっちゃり兄弟にこんな拍手したか……? しかし、あっという間に終わった。正直、あんまり真面目に予習をしないで行ったのだが、すごくよかった。一目ぼれである。みんな、キセルを聴け。

 セットリストは気合で集めた。知っている曲が半分くらいしかなかったが、多分合っていると思う。





SET LIST

1. タワー
2. 方舟
3. ねの字
4. 手紙
5. 夜間飛行
6. くちなしの丘
7. ひみつ
8. 夜の名前
9. ギンヤンマ







  1. 2011/03/07(月) 14:18:40|
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