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志村正彦全詩集

志村正彦全詩集志村正彦全詩集
(2011/02/22)
志村正彦

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 ってきた。正直に言って、日記の方は個人的に資料的な意味合いが強かったのでこちらもそんな感じだろうかと少し思っていたのだが、いい意味で裏切られた。

 まず、装丁がよい。名久井直子という人は寡聞にして知らないが、極めてシンプルな装丁だからこそ、センスのよさが分かる。落ち着いた美しい青のクロス装の角背上製本は手触りがよく、手に馴染む。表紙にはタイトルはない。その代わりに、型押しされたヤクザネコ(志村画)がこっちに妙にいやらしい視線を向けてくる。その脱力感。これだけでなんとも言えず、志村の本だ。

 内容は公式なアナウンスは妙に曖昧な書き方だと思ったが、とにかく発表されている志村が関わった歌詞は全て収められている。しかし、これじゃあ「全詩集」ではないだろう。やつはもっとたくさんの歌詞を残していたはずだ。なんというか、それは自明なことなのに「全詩集」と銘打つことにはすっきりとしない。しかし、詩集という形態でフジファブリックの曲が手に取れるということは非常に単純に嬉しい。

 順番としては意外なことに、メジャー4作の後にインディーズ2作とカップリング、未収録曲や提供曲、「MUSIC」となっている。しかし、冒頭に「桜の季節」が来るというのは趣があっていい。インディーズから提供曲にかけてだけ藁半紙のような紙を使っている。個人的には藁半紙は傷みやすいのでデザイン性より耐久性が気になるが。

 といったことを一通り確認した後、読み始めた。そして驚いて少し笑った。何故なら、あまりにも詩集だったからだ。あまりにも読み応えのある素晴らしい詩集だったからだ。

 同じようなものだが、詩と詞は微妙に違う。詩は読んだ時に生まれるリズムに貫かれているが、詞はメロディの中で響く。だから歌詞をメロディ抜きで読むと魅力が損なわれるようなことが多々あるのだが、しかしこの本はがそうでなかった。むしろ音がないから、今まで気づかなかった詞の良さが分かる。言葉の選び方に本当にセンスが光っている。詩集というのは何度も読み返すものである。これは。。。好きな本はすぐにボロボロになってしまうから何冊も持っていたりするのだが、やはりこれももう一冊くらい持っておくべきかもしれない。枕頭の詩集は角川から出ているコンパクトな「中原中也全詩集」だったりするのだが、これはそれと同じかそれ以上によい。うむ。。。侮っていた。

 邦楽ロックなどというとバカにされるが、これはもう充分に文学だ。卒論これでいこうかな。

 最初に「函入りクロス装上製本」とあるのを見た時は微妙な気がしたが、これは愛される本の形だな。そしていつか文庫にもなってほしい。これは内容が愛される本の形である。多くの人のそばに寄り添う本だ。そうして100年もそのずっと未来までも時を超える本になってほしい。時間という無常に耐え得るものがここにはある。







  1. 2011/02/24(木) 13:57:49|
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