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OPY 1


輝かしき軌跡(部活動報告書)

  1

「もりもりぃー、放課後上履きキャッチボールやろうぜー」

「おっけ。今日掃除ないから、待ってるよ。あ、ちょっ、やめろ! 頭にタコウインナーとかのっけるのやめろ! あ、おおお前! 食べ物を粗末にしちゃいけないんだぞ!」

 お弁当の時間、タコさんウインナーがのった頭に田中がチョップしてきたので、頭上でタコがミンチになり騒いでいたら、こんなお昼の放送が流れてきた。


『本日のOPYの部活は、終礼終了一秒後から行います。場所は第十三学習室。部員は全員必ず集まってください』
ぶちっ。


「あっ……」

 思いっきり。思いっきり部長の声だった。

「お前、そういえばOPYだったよな……OPYってなんかヤバいらしいぜ。辞めた方がいいんじゃないか?」

 教室はOPYと聞いて騒然となっている。田中もミンチタコの付着した手を拭きつつも、ちょっと引きつった顔をしている。

 僕はため息をついた。無理もない。オカルト心霊妖怪部、略してOPYはこの超難関校私立星明(せいめい)学園において、最も噂・伝説の多い部なのである。理由はOPYであるからというだけなのであるが、部員以外の生徒は誰一人としてその活動内容を知らない。半ば都市伝説と化しているが、ちゃんと実態はあるのだ、困ったことに。そして、これまた噂によると、学園内で絶大な権力を誇る学園長直属の機関である退治部すら手が出せないという。僕のような平凡な中学生が関わり合いを持つような部活じゃない。全然ない。

「できたらやってるよ……」

「ご愁傷様。ま、とりあえず上履きキャッチボールは昼休みにやろうぜ」

「おっけ。あー、とうとう今日が部活デビューだよ……」

「ま、いいんじゃね?」

 僕は田中に伊達巻を投げつけた。



  2


 申し遅れたが、僕は星明学園中等部一年、毛利元憲(もとのり)。皆さんご推察の通り、かの有名な戦国大名、毛利元就の直系の子孫だ。以後お見知りおきを。全然平凡じゃないじゃないかと思われるかもしれないが、血筋以外は平凡なんだって。記念すべき初登校の日にまあ、思い出したくもないようなことがちょっとあってOPYに入部する羽目になった。

 ちなみに今は終礼中。昼にちゃんと頭を洗ったのだが、まだ乾かない。おまけに、ケチャップの匂いが怖ろしくとれない。頭髪から香り立っている。さらにそれが石鹸の匂いと混ざって――……一言で言うと最悪だ。

 頭から漂う悪臭に静かに発狂しかけていると、隣の席の田中がひじでつついてきた。

「お前さあ、まじで出るの? OPYってすっごい退治部に目ぇつけられてるってよ」

「だからさあ、出ないと部長に呪われるんだって。お前もついてこいよ」

「死んでもやだ」

「……このっ! 死んでも道連れに――」

 思い余って田中の首を絞めようとしたちょうどその時。

「はい。じゃあ今日はここまで」

「起立! 礼!」

『さようなら』

 僕たち以外みんなが立ち上がって礼をした。

「え? 終礼終了――」

 ガラガラ!

 突然、教室のドアが開いて巨大な鬼のような手が入ってきた。


 そして、僕をつかんだ。

「え?」

 そのまま、猛スピードで教室から退出。

「お、鬼一口ぃぃー!?」

 そして僕は気絶しました(やってられるか)。




つづく




  1. 2011/01/20(木) 10:14:41|
  2. 短編
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