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TRAIN HATE SYNDROME

 『東京、音楽、ロックンロール』の完全版と、『全詩集』が出るらしい。未来の人よ、これはそんな時期に書いていた雑文だ。そして今の人よ、こんなことを書かずにはいられないほど、絶望的奈くらいあっという間に今は古びていく。

 しかし、決して古びることのない光景はある・・・いつもはどこかにしまい込まれて現れることがないのに、ふとした瞬間に鮮明に浮かび上がるワンシーンがある。それだけでも、拠り所に出来るはずだ。それだけでも強さに変えるには十分だ。

 ともかく、書籍に咲くのリリースを控えてパラパラと『志村日記』を読み返している。志村とクボは不思議ちゃん具合が似ていると思うんだが、両者の日記を比較すると志村日記はギスギスしているなあと思う。余裕がなかったんだろうなあ、頑張り過ぎだろ。本当は志村だってのんびりした人間なんだよ、多分。あいつは本当にバカだ。

 他にも気付くことはあって、たとえば2004年10月20日はメレンゲの『初恋サンセット』がリリースされた日だが、同じ日付の志村日記に「唇のソレ」と思しき曲を睡眠作曲したという記述がある。特にどうということもないが、ちょっと面白い。

 などと言いつつも否が応にも目に付くのは、心身の不調の記述である。2006年のスランプがやはり色濃く影を落としているようだが、専門外なのでよくはわからない。しかしひとつ分かるものがある。「電車に乗れない病気」である。

 どうやら、症状がはっきりと自覚されたのは日記を見る限り札幌でのキャンペーンの帰路、飛行機に乗っていた際のことのようである(p.218)。「突然左手の小指が痙攣し始めて」というのは極度の緊張状態から来ると思うのだが、違うだろうか。同じあたりで『TEENAGER』の歌入れが終わった日の話がある(P.219)。「品川でレコーディングしてた帰りに、りんかい線で渋谷のほうに向かってたら、大崎らへんで気分が優れなくなって、ちょっとトイレに行こうと思って、トイレに行ったら平気なんですけど、また電車に乗ろうと思ったら、また怖くて気持ち悪くなってトイレに行って」とあるが、分かる。こういうことは沽券に関わるのであまり言いたくはなかったのだが、恥ずかしい話、小生にも見に覚えがあるのである。決して不健康自慢のような残念なことをしたい訳ではないぞ! 健康自慢ならしたいが。

 小生は高校時代、大学受験で大学について何も知らない親の意味不明な期待がプレッシャーだったのである。うむ。。。。中学・高校と定期試験が実力試験で、数学は赤点だった人間にどうしたら「国公立に行け」なんて言えるのか。いや、まあ素直に勉強すればいいんだが。うむ。。。。。その、小生は割と期待やプレッシャーに弱い性質である。まあ個人的な話はあまりしたくないのだが、この「電車恐怖症」、物理的・心理的密室で発作が起きるように思う。小生の場合、電車だけでなく人数が多くきっちりと進む必修の授業、車内なんかもヤバかった。

 それは突然襲い来る。授業中教室でボーッとしていると、急に正体不明の恐怖に駆られる。いやはや、本当に笑えるほど理性を無視した恐怖なのである。直接原因となり得るものが何もないのに、予防も対処も出来るはずがない。辞書を引いてみたところ、パニック症候群の症状に非常に近かった。いや、不安神経症か。とにかく、理屈のない強い恐怖とともに心拍数が一気に上がるのだ。呼吸も過呼吸気味になる。とりあえず、ここから逃げ出さないとどうにかなりそうだ。しかし、密室故にそれが非常に困難である。そういった状況にほとんどパニックに陥る。気分が悪かったり腹が痛かったりするからトイレに逃げ込むのだが、実際は人が居ないからいいのかもしれなかった。一度こういうことがあると、再発の不安に取り憑かれる。そうして半端ない悪循環が始まるのだ。

 簡単に言えば、突発的に極度の緊張状態に陥るということである。「突然左手の小指が痙攣し始め」るのもそうだし、「夏でも長袖」でいられるのもそうだ。もう本当に指先が冷たくなってじっとりと手のひらが汗で濡れる。小生も夏服の上にセーターを着て過ごしていたものである。寒くてしょうがなかった。適温というものが帰宅するまで感じられなかった。

 おそろしいことに、ひどい時には本にも音楽にも全く興味を示せなかった。あんなのは初めてであった。山程もあるボトルネックを折角綺麗に覆って隠していたのに、皮を引き剥がされてしまったような気がしたものである。小生はくだらない人間でバカなことだけを考えていたいのだから、こんな深刻っぽいのは御免蒙りたい。というか、50分椅子に座って授業が受けられないということがひどくプライドを傷つけた。まあ幸いにして、小生は受験のノイローゼであったので受験が終わってほとんど治ったが、志村の場合は原因を取り除くことすらも致命的であった。

 私には志村が治ったとは到底思えない。逃げ出したかっただろうな・・・・・・こんなことになるくらいだったら、いくらでも逃げ出してよかった。あいつがアーティストだなんてことは百も承知だ。でも、こんなことになるくらいだったら音楽なんか辞めちまえばよかったと思う。・・・・・・平気なふりって、あんまり続けると本当か嘘か自分でも分からなくなるんだよ。バカだな・・・・・・

 しんどかったら辞めればいい。生きてるのと生きてないのがどれ程違うものなのか、あいつは多分毎日があまりにもつらくて忘れてしまったに違いない。生きる苦しみがだんだんと死ぬ苦しみに近づいて死の恐怖を麻痺させる。「死んでもいいけど、作品出せないのは嫌だな」なんてそうでもなかったら言えないだろう。分かるけど、単なるバカ野郎だろ。

 辞めたら今度はまた自分のペースでやればいいんだよ。そんなことをしたら今のシステムじゃ、現状復帰は難しいということくらい知っている。でもそれくらいの実力はあるだろ。10年単位だって待つやつはいるって。「契約切られる」って怯えるな。なんでそんなに自分の才能を過小評価してるんだよ・・・・・・そしてあれだけ用意周到だったくせに、肝心な所で、ほんとに詰めが甘いもいいところだ。ふざけんなよ・・・・・・








  1. 2010/12/29(水) 00:05:09|
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