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we are the sunset party (and break fuckin' christmas!). 4


 気がついた時、ボクはみんながまわりを取り囲んでいるのでびっくりしました。どうやら失神してからそのまま眠っていたようでした。

「みんな……」

 ボクは恥ずかしくてちいさくなりました。ローズはニコニコしています。グレアムとグレッグはすこし心配そうだ……もうどこも痛くありませんでした。偏頭痛は治る時はケロッと治るのです。みんなはボクが起きたのでほっとしているように見えました。

「さあチェスター。行こうぜ……」

 キキが手を差し出しました。ボクはそっとその手を握りました。


 一行はさわがしく倉庫を出て広場に向かいます。外に出て、ボクはまたおどろきました。街は赤と黄色が複雑に混じりあった夕焼けの色に染まっています。デミアンとよく一緒に見た夕焼けの色でした。ボクの目から涙があふれました。

 街の中心にある広場まで来ると、みんなは道をあけました。ステージの上で一台のピアノが誰かを静かに待っているのが見えます。

「チェスター。君に歌ってほしいんだ」

 キキの言葉にボクはまごつきました。

「弾くんじゃなくて? 嫌だよ……恥ずかしいだろ……」

 キキは無理やりみんなとボクの背中を押しました。

「恥ずかしくなんかないよ。みんな君の歌が聴きたいんだよ。デミアンだってきっとそう思ってる……いいから歌えよ!」

 ボクはしぶしぶピアノの前に座りました。もうすでにからだがふるえています!……情けなくて猫背がいっそうひどくなりました。

「落ち着け、チェスター! 自信を持てよ! 君の歌が最高なのをオレたちはちゃんと知ってるから大丈夫!」

 ボクの演奏仲間(バンド)のグレアムとグレッグが声をあげました。なんでみんなこんなに優しいんだろう……? わかんないけど、頑張らないとな……ボクは覚悟を決めてゆっくりピアノを弾き始めました。





つづく


  1. 2010/12/23(木) 20:46:48|
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