inkblot

A Prince


「オレはね、王子様なの」

 アートはピカピカの自転車に乗ってやって来たやつを見て、ぱかっと口を開けた。

「なんで?」

「頭が良くて、お金持ちで、オレの周りにはすごい人たちがいっぱいいるの。だから」

「ふーん。すごいんだね」

 アートは金貨の山に立っている王子様を想像して、目を丸くした。

「そう。すごいの」

 王子様はちょっと得意げな顔をした。

「あ!」

 アートが急に大きな声を出したので、王子様はちょっと嫌そうな顔をした。

「何?」

「ねえ、もしかして王子様ってチョコ食べ放題?」

 ちょっと興奮したので、握り締めていたまるいチョコが手の中で嫌な音を立てた。

「うーん」

 王子様はちょっと暗い顔になった。

「虫歯になるからダメって。間食とかあんましちゃいけないの。まあ、こっそり食べてるけど」

「ふーん」

 アートは肩をすくめて王子様にチョコを差し出した。

「食べる?」

「うん」




                                    END
  1. 2009/12/02(水) 00:48:26|
  2. etude
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