inkblot

CHRONICLE OF ALBUMS

わりと最近書いた雑文です。

いや、悪文だ。





こで、アルバム単位でフジファブリックの歴史を見ていきたいと思う。
フジファブリックは今までにインディーズで2枚、メジャーで4枚のアルバムをリリースしている。


・『アラカルト』(2002)
・『アラモード』(2003)
・pre-debut盤 『アラモルト』(2004)
・『フジファブリック』(2004)
・『FAB FOX』(2005)
・『TEENAGER』(2008)
・『CHRONICLE』(2009)


インディーズの2作、そしてそれらのベスト盤である『アラモルト』からなる、最初期のフジファブリックは、ソングライターである志村が慣れ親しんでいたジャズや歌謡曲、そしてブラジル音楽のエッセンスがにじみ出した、ある種フォーキーな哀愁漂う楽曲が多い。
この頃はメンバーもまだ固定しておらず、他メンバーの音楽的素養はあまり見られない。
妖しくて妄想にあふれた歌詞や、奇抜な転調があったりしつつも、独特のいなたさがある。


メジャー1作目の『フジファブリック』ではプロデューサーに片寄明人を起用し、四季盤のうち3曲を収録している。
そのため、他のどのアルバムよりも抒情性にあふれたアルバムとなっている。
朴訥なボーカルとその故郷を回想する世界観が相まって、美しい曲。
その合間を縫うように、「打ち上げ花火」、「サボテンレコード」などのよどんだメロディが突如転調し、スリリングなバンドサウンドを繰り出す楽曲が入る。


『FAB FOX』は一転してプログレ色の強いアルバムである。
プログレをバックボーンに持つメンバーの音楽性を吸収したことが反映されている。
各楽器が複雑に絡み合うメロディと、ふてぶてしいボーカルがモノノケじみた異様なグルーブを生み出す。
このあふれ出るプログレ感とは裏腹に、非常に日本的なのが面白い。
フジファブリックという音の面白いバンドの良さがとてもよく出たアルバムだ。
バラエティ豊かで、耳を飽きさせない。
多分、ソングライターであるヴォーカルの志村はこういった面白いメロディが一番自然に作れるんだと思うんだが、彼はこれ以降敢えてそれを抑えていた節がある。

『TEENAGER』
2年3ヶ月ぶりのアルバムで、それまでの期間が苦しいものであったことは各所で語られている。
これまでとは打って変わってポップな世界観で、ファンを驚かせた。
志村以外のメンバーが作曲した曲も多数含まれており、曰く「民主主義で作ったアルバム」。
しかし、いくら他人が作った曲であろうと志村が歌詞を書いて歌ってしまえば、怖ろしいほど違和感なくフジファブリックである。
様々なアーティストと作業することで、さらに新しいものを吸収しようとしていることがうかがえる。


『CHRONICLE』
それまでの特異なバックボーンと感性からなる、独特の作風を捨て、USインディー・ロックなどの新しい音楽の影響を強く受けたメロディと、内省的な深い苦悩をえぐり出す歌詞。
前作から一転、全作詞作曲を志村が手掛けた。
前作のリリース後、さらに深い苦悩に落ちた彼が、バンドを前に進めるためにプライドをかなぐり捨て、全てを吐き出したアルバムだ。
それ故、とてもさびしい歌詞だ。
恥も外聞も捨て、助けを求めるような。




 そして2010年7月28日に5作目となる『MUSIC』がリリースされる。
志村亡き今、今までのフジファブリックは否応なしに終わりを迎えてしまった。
フジファブリックというバンドは極端なワンマンバンドで、フジファブリックと志村正彦が限りなくイコールに近いニアリーイコールで結ばれていたバンドだった。
メンバーは人間関係ではなく、純粋に技術力で集まったメンバーである。
それ故、志村の理想とするものを表現するために最善を尽くしたし、それ以前に彼を尊敬していて、友人としても距離を縮めようとしていた。
ただ、彼の性格が長い間もどかしいぎこちなさを解消させなかった。
それも『CHRONICLE』というアルバムをリリースできたことで、メンバー間の絆も深まり、新しい世界が開けてきた矢先のことだった。

フジファブリックが本領発揮するのは、まだこれからだった。
志村が提示していた未来を、残された3人がこうして形にしてリリースする。
3人はこれからもフジファブリックを続けていくと明言している。
本人は自分の声に悩みを抱えていたが、こうして聴いてみると、フジファブリックに彼の声は本当に欠かせないものだった。
その声はもう戻らないが、この歌はこれからだって生き続ける。
わがままには違いないけれども、それをずっと守っていってほしい。
彼は彼が思っていたよりもずっと多くの人に愛されていて、憧れだった奥田民生や吉井和哉、真心ブラザーズ、斎藤和義、片寄明人もそうだし、先輩にあたる氣志團やPUFFY、TRICERATOPS、親友のメレンゲやPOLYSICS、スパルタローカルス、くるり、ART-SCHOOL、それこそ本当に挙げていったらキリがないほどだ。
そういった人々も、歌い続けていってくれたらいい。
彼の努力や情熱が、ちゃんと報われたのかよくわからないが、これからだってまだ報いることはできると思いたい。


まだフジファブリックは終わってはいない。

  1. 2010/08/13(金) 14:17:44|
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