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フジファブリック presents フジフジ富士Q 4


 席から、この行列から、歌声が起こる。いかにも志村が歌っていそうな「大地讃頌」に合わせて、大勢の人々が歌っていた。志村の夢の舞台が今、始まろうとしていた。そう思うと、鳥肌が立った。

 「大地讃頌」が終わると、インストの曲が流れた。よく覚えていないのだが、たしか「バウムクーヘン」だったと思う。そして、「ペダル」が。決して、空っぽなわけじゃない。そこにない声は、不在としてそこに存在した。ギターがうねりを上げ、天に昇るようにふっと鳴り止む。緊張をはらんだ無音の後、「桜の季節」が。トップバッターは民生ちゃんだ。聴き慣れた「桜の季節」。さらっと歌って去って行ってしまう。「大丈夫だから。民生さんはまた後で登場しますから」オーディエンスをなだめる先生の声が聞こえる。


 その直後、「にゃー!」と16000人がひしめくコニファーを威嚇しながらコウセイが出てくる。そしていきなり「虹」でかっ飛ばす。そのまま空へ駆け上がっていくような、気持ちのいい曲。コウセイの声も意外に合ってる。興奮した。けれどもやっぱり、その向こうの本当に聴きたかった声を聴こうとしてしまう。失礼だよな。だがそれでも悲しい。

 「モノノケハカランダ」も、この日のメンツではコウセイ以外いない感じだった。まあでも、岸田が歌ってもいいかもしれない。モノノケ系はこの二人で聴いてみたいというのはあったが、コウセイには「Surfer King」を歌ってもらいたかった。スカパラホーンズじゃあ、ボーカルいないしな。だがしかし、「モノノケハカランダ」は表情のない志村の声でこそ、あのモノノケ感が出るのであって、やっぱりコウセイが歌っても「モノノケハカランダ」は「モノノケハカランダ」の片鱗を感じさせるに過ぎなかった。



 続いて、ハナレグミ。名前を知っている程度のアーティストだったのだが、「ダンス2000」を柔らかで朴訥なボーカルで歌い上げる。歌い方にかすかに志村を感じた。吉井和哉をはじめ、出演者たちがよく言っていたように、フジファブリックの曲を歌いこなすにはどんな歌い手でも志村のように歌わなくては歌えない。だから、誰が歌っているのを聴いても、どこかしらにやっぱり見出すところはあった。それ以上ではなかったが。

 2曲目の「ルーティーン」はやはり欠けているものの絶望的な大きさを実感させられた。「ルーティーン」は「CHRONICLE」と密接な関係にある曲だ。特にあのアルバムに色濃く出ている、あの歌からにじみ出る、貫くような寂しさがない。ないんだ。



続く







SET LIST


奥田民生    「桜の季節」


安部コウセイ  「虹」
          「モノノケハカランダ」


ハナレグミ    「ダンス2000」
          「ルーティーン」





  1. 2010/08/09(月) 13:37:31|
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