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君が歌ってよ


 アンディモリがとうとう最期の火をともす。なんだかありがたいことに観れることになりそうなので、もういちど語ることを許されたような気分になっている。大阪の空はよく晴れていたみたいだな。。。まあ観てないから知らないが、きっとあの男は飛行機みたいに現れて、あっという間に驚くべき軽やかさで目の前を飛び去って行ったんだろう。人々の心にだけ、飛行機雲が残像のように残されたんだろう。日曜日の東京もきっとよく晴れるだろうな。

 ライブとは別に、なんだか最近やたらと心がアンディモリを求めている。昨日、日文の事務室に注文していた本を受け取りながら、「これ以上社会が悪くなったら、こんな本を持っているやつは捕まりますよ。大逆罪ですよ。うちの先生も捕まりますね。研究対象が反国家的だから」とか無駄口を叩いていたらウケた。注文してた本は『国家に抗する社会』だからね。冗談はさておき、小生は国家が自明のものだとは思えない。本当はなくてもいいんじゃないか。ない方がいいんじゃないか。疑っている。大体それ以外のあり方を認めないような世界観の刷り込みが心底嫌だ。とりあえず自分で調べて考えてみるよ。でもなんかすごくインチキくさい。

 しかしこんな冗談に何だかガラスの破片のような、危うい真実味がまじっているように思えるのは気のせいだろうか。今の「日本」という「国家」は、確実に第二次世界大戦よりのちの平和をかりそめのものであったと告げようとしている。もうこのまま行くとマジでこんなこと書いてると捕まるような日が来るだろう。どう見ても最悪の社会である。ひどいひどいとは思っていたが、ここまでひどくなるとは思いもしなかった。新聞というゆがんだ窓から社会を覗いて、行き場のない憤りを持てあますことに倦みつかれた小学生のあの日から、今までのツケが一気にやってきたような気分だ。そう、我々はもはやノンポリではいられない。いや、本当は最初からそんな無責任なことを言っていてはいけなかったのだ。世界に権力が芽生え、国家の発生を慎重に避けてきた社会がそれに屈した時、運命はとっくに決まっていた。

 とは言え、サボってきたので政治なんかさっぱりわからんし、選挙のたびに一夜漬けみたくなっている。こんな最悪の社会に、ごまかさずに素朴な疑問のナイフを突き立ててくれる男がいたじゃないか。小山田壮平。あんたなら、今の社会でどんな歌を歌ってくれるんだい。音楽が政治を切り裂いたっていいじゃないか。あんたの歌が聴きたい。君が歌ってよ。

 そう思っている。心からあの高らかな歌が聴きたい。



  1. 2014/07/23(水) 01:04:31|
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アンディとリップスとメレンゲとなんかいろいろ

 この間フレーミングリップスを観て来た。前座がミイラズじゃなくて悲しい。HAPPYとかいうバンドだったが、駄目だなあれは。見た目もチャラいが、中身もチャラいんだよな。うまく言えないが、ガチなミュージシャンはどれだけかっこつけても、どこかがダサい。ぱっと見はチャラいが、ミイラズはガチである。チェコはチャラいな。やっぱチャラい。で、HAPPYなんだが切実な気持ちで音楽をやっている感じでは全くない。人に好かれて当然という顔をしている。

 リップスのステージは前みたいに派手派手な感じではなくなっていたが、よかったな。始まる前に延々と銀色の半球をいくつも重ねてテープでとめ、LEDの入った白いでろでろしたチューブを長々と垂らしていた。これにかなり手間取っていて、ウェインが手伝ったり「遅くね?」みたいな顔をしていた。ウェインはメタリックな蒼いスーツ姿で首のまわりに造花の輪がついている。赤ん坊の人形をあやしながら歌う。もう曲順なんか全然覚えてないんだが、やっぱり「Race For The Prize」「All We Have Is Now」あたりは圧巻だった。あ、「Race For The Prize」はメレンゲ「チーコ」の元ネタな。どれもガッと盛り上げるような感じではなく、ゆっくりと深く歌っていた。ウェインはやってることはクレイジーなアメリカ人の代表みたいなのに、作る歌はなんだか日本人みたいなんだよな。生きるということにウェインが感じている切なさが日本人的というか、日本人にすごくよく分かるものなんだという気がする。

 でも不思議な音楽だった。洋楽だから歌詞にあまり集中する感じじゃなかったというのもあるが、やっぱりトランスっぽいな。光と音楽が一体になっている。ウェインは歌はへなちょこだが、喋っていると割と普通で面白かった。いいMCもするんだが、最後で大体台無しにする。

 どうしても生で聴きたい曲があって、やるんじゃないかと思ってはいたがなかなかやらないので不安になってきたところで聴けた。アンコール一曲目だった。「Do You Realize??」だ。これが一番聴きたかった。なんというか。。。何も言えないな。聴いた、観た、泣いたみたいな感じである。うまく書けないからやめておこう。。しかしいいライブだった。

 そういや、入場の時に後藤を見かけた。チビの方ではない。元アンディモリの後藤大樹である。小山田がかわいがっていた清水健太とかいうのと一緒に居た。最初赤い服を着た清水が目に入っておっ、こいつはみたことがあるなと思ったんだが、そうでなかったらあまりに地味過ぎて気付かなかったと思う。気付いてからもあまりに地味なのでチョコを食いながら本当にそうかとガン見してしまった。冴えない顔だった。髪は短い。清水はなんだか顔色が悪かった。くすんだ感じの二人組だった。それを見て、小山田のことを考えた。静かな暮らしの中でなんとなく生きられているだろうか。もうすぐ穴埋め的なリリースがあるがなんだかな。。

 まあやめよう。メレンゲのことでも考えるか。来年に渋公である。もう即行で先行申し込んだよな。だが移籍後初ワンマンを渋公で、というのは気持ちはすごくよく分かるがはっきり言ってかなりの博打だ。分かってやってるんだと思うが。半年目立ったライブをしないってことだからな。バンドにおけるライブと物販の収入というのもかなり大きいから、ファンを引きずり込む手段と大きな収入を投げ捨てたことになる。多分ファンの多くはバンドを長く続けてほしいと思っているだろうが、メレンゲはそうじゃないのか。「次の予定は何も決まっていない、どうなるかは何も分からない、だから今を観てほしい」って言うのはどうなのか。いつだって全力で観に行ってるんだぜ、なめんなよな。つうかそもそもメレンゲは危ない方が普通なバンドなので、そろそろもう少し安心させてほしいんだが。多分メレンゲじゃ「太く短く」は絶対無理だと思うが、ぱっと散るのがかっこいいみたいなのはやめてくれ。続かなきゃ意味がない。もう既に最大の岐路は過ぎているはずだ。分かってるんだろ。もう死ぬまで辞められないし当分は死ねないぜきっと。だからもう少し長期的な視点を持ってほしい。

 だが渋公めちゃめちゃ楽しみだぜ! 出来ればいい席で観たいよな。。DVD化とかされるのか。散々言っといて結局ライブDVDの話はどうなったんだよな。もう予算を言い訳にするんだったら潮音ちゃんみたいにパトロンを募集すればいい。多分きっと沢山集まる。リターン次第では莫大な金が集まるかもしれん。。そういや最近クボキングダムの「要するにクボンゲに色々着せたりなんかさせたりすればいいんだろ」的な露骨さが公式になりつつあって面白いな。笑 分かってるんだったらもっとそれでお金を集めればいいのにな。笑 だからマジでDVD出してください。五体倒地 多分「初ワンマンは渋公で」という意味は、「半年分のライブ製作費をすべて渋公に注ぎ込む」という意味でもあるんじゃないか。だったらライブの資金ももうCampfireで集めようぜ! 
  1. 2013/10/31(木) 17:50:50|
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退院


 アンディモリの小山田壮平が7月31日に退院したらしい。意外と早かった。元々腕や下半身といったような動くのに支障の出る部位は何でもなかったから、動けるようになるのは割と早かったんだろうな。骨折も複雑骨折や粉砕骨折とかではなさそうで、くっつきやすそうな部位だったしな。ただ呼吸器の損傷がどの程度か分からないのだが、やはりそれなりに深刻なのかもしれない。「会話はできる」とあるが、まだほとんど声も出ないんじゃないか。やっぱり胸をやられているというのは大分気になるよな。いっそ楽天的にもなれるし絶望もできる。小山田は確かに「andymoriをやり遂げたい」と心から思っているだろうが、理性では抑えられないところで彼は彼に裏切られてしまう。どれくらいの時間がかかるかは本当に皆目見当もつかない。でも待つぜ。まだチケット払い戻ししてないんだ。

 しかし今が一番危ない時期だな。体は下手に動けるし、下手に心は壊れている。ただご両親がやっぱりそばにいるだろうから大丈夫だろうか。本当は実家に連れて帰りたいだろうがそれは少し難しいかもしれないし、東京で通院治療ということなら親御さんもこっちで看病されるってことなんだろうな。小山田だって親の気持ちは突き刺さるように全部知っている。大丈夫だろうか。

 アンディモリやアンディモリが聴けなくなってしまった人たちのことを考えながら、小生はアンディモリを聴いている。そもそも小山田は生きてるからな。ニュースを聴いて、「生きてて良かった」とすら思えなかったミュージシャンがいたんだ。その時ですら曲は聴けたしな。現実感なんかある訳もない。ただ其の時に聴いていた唄だけは何年も聴けなかったな。話が逸れた。

 小山田壮平にとっての「CITY LIGHTS」はいまや完全にカート・コバーンにとっての「Smells Like Teen Spirit」になってしまった。「スメルズ~」はカートに自分の頭に向かってショットガンをぶち込ませたし、「シティ・ライツ」は小山田に川へ飛び込ませた。ムジカか何かのインタビューで、小山田が「自分に嘘をつかずに書けた、気に入っている曲」だとかそんなようなものを延々と挙げている中に「CITY LIGHTS」は最後まで出てこなかったのを確認した時、それはもううっすらと見えていた。それからライブであの曲を演らなくなった時には確かにはっきりしていたのに、深刻に思わなかったんだ。様子見したんだよな。そんなことを思い出すけど、それとは別にアンディモリの曲は今も勝手に手足をさらっていってめちゃくちゃに踊らせる。

 欲はあんまり出さないが、いつか上手いことまたあんたが歌ってるところに出くわせたらいいと思ってるんだ。




  1. 2013/08/06(火) 00:45:39|
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心配しないで、俺を見捨てて

 この後の文章はアンディモリの一件のことを個人的にもう少し消化しようと思って考えていたら書けたもので、自分でもなんだか扱いに困るものである。事実とは色々違うだろうし、これはあくまで創作だ。だがこんな風に思っているんじゃないだろうか。しかし思いついたことはあらかた書いたので、小生は大分すっきりした。一応載せるが、苦情が来れば下げようと思う。最後にもう一言何か言うとしたら。。ううむ。。そうだな、彼はきっと死ねない男だから「作家の幸福」を追求する上での破滅も構わないという風に考えるよりは、限界が一瞬でも見えたら休んでだましだましやっていった方がいいんじゃないかと思っている。




心配しないで、俺を見捨てて



 痛い痛いと思いながら目を覚ました。ぼんやりと白と淡いグレー。なんでよく見えないんだろうと思ったけど、片目が塞がっている。どうやらぱっくり割れているらしい。血で固まっているのかな。肺が痛い。息が出来ないくらい痛い。一体どうやって呼吸してるんだろう。口元を何かが覆っている。左手が痛い。裂けたように痛い。唇や頬も切れている。あちこちがぶつけたように痛む。骨もいろいろ折れてるな。ベッドに寝かされている、そうか、ここは病院だ。最後にやったことを思い出した。きっとみんな怒っている。でもそんなつもりでこんなことをしたんじゃない。おかしくなっていた訳でもない。暗い気持ちだった訳じゃないんだよ。こうしないと生きられなかった。生きるために死のうとしたんだ。でもそんなの伝わらない。がっかりしたり悲しんだり怒ったり、あるいは面白がったりあきれたりする家族、友達、スタッフ、こっちがよく知らないのにこっちをよく知っている人々、匿名の人々。緊張したくないのに手や足に力が入り、嫌な汗が噴き出してくる。苦しい、苦しい、苦しい! 世界が一気にのしかかってくる。怖くなって必死に手足を動かした。骨に激痛が走る、でも恐怖心の方が勝っている。傍らで話しかけていた人が立ち上がって取り押さえてくる、もう一人が誰かを呼ぶ、すぐに白い服の人々がやって来て、強い力で体を固定される、針が刺さる、いきなり骨から髄が抜き出されるみたいに、身体から魂がずるっと抜き取られるみたいに、意識が骨抜きになってぐにゃぐにゃと真っ黒に溶けていく。


 次に気付いた時、手足はベッドに括りつけられていた。暴れないようにってことらしい。父さんと母さんがそばに居る。社長や仕事仲間と会った。上手く息が出来なくてしゃべれないから、頷いたり手を振ったりした。先生が体の状態を教えてくれた。

 すごく怒られて嫌われると思ってたのに、誰も声を荒らげなかった。怒られないのは怒られるのよりずっと怖い。理由なんかない恐怖がじわじわ取り囲んでもう息も出来ない。

父さん! 母さん! 怒ってくれないのかい? 僕のこと
シスター! ブラザー! 軽蔑してくれないのかい? 僕のこと
身体に変な力がこもって ずっと抜けないんだ。
世界が寝静まって、誰もが僕を忘れた頃に
やっと安らぎを感じるのさ。

ラララ ラブユー ラブユー OH OH 
みんなを愛している 死んでもいいくらい
でも目は見れないよ 今はね

 どうしたらいいのか困っている顔、泣いている顔、気遣っている顔が、ボロボロになった身体に降り注ぐ、じっと見ている。そんな顔しないで。そういう顔から逃げ出そうとしたんだよでも逃げ切れなかった! 苦しいんだ! 

 父さんと母さんはずっとそこにいて、僕に話しかけたり手をさすったり 少しは部屋を出て休みなよ 誰かがいつもそばにいる。苦しくはないか、欲しいものはないかと訊く母さんに何度も笑顔を作って手を振るけど、しゃべれたならこう言いたいのさ。

心配しないで 俺を見捨てて
優しさが首を縛り上げて 足が浮いているのさ
いつの間にかアドバルーンみたいに膨らんだ
自分じゃない自分から逃げようとしたけど無理だった
今さら遠くへも行けないけれど

心配しないで 俺を見捨てて
どうせどこへも行けないのなら せめて無視して欲しいのさ
誰も僕を知らない世界で何年ぶりかの深呼吸をする そんな夢を観るんだよ
カメレオンの七色の服はもらえないけれど

心配しないで 俺を見捨てて
そしたら俺だってすぐに元通りになれるのさ
いつだって光を追いかけてるけど
今は少し調子っぱずれなだけなんだよ



  1. 2013/07/20(土) 23:31:11|
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頭部外傷、頚胸推損傷、右外傷性血気胸、肺挫傷、右鎖骨骨折、右肩甲骨骨折、右助骨多発骨折、左手挫創

 andymoriの小山田壮平が4日の朝に川へ飛び降りて重傷を負い、現在決まっている全公演がキャンセルになった。診断結果を見ると、頭部を中心に上半身に外傷が集中していて、顔側、前面からぶつかったような感じがする。肺をかなり傷つけているから、当分会話はできないんだろう。頸椎を損傷しているのも気がかりだが、脳の損傷や手の骨折がないのは不幸中の幸いだった。何より、死ななくて本当によかった。

 ここへ来て、やっと小山田の精神状態がどこまでヤバいのかが分かった。今、小山田は意識が戻っているという。小生が心配なのは、小山田のズタボロになった身体という外殻ではなく、そこに閉じ込められた中身の方である。やっと分かった。小山田は好きで浴びるほど酒を飲んで酔いつぶれていた訳ではない。小山田は好きで脱法ハーブに手を出した訳ではない。小山田は好きで川に飛び降りたのではない。もう自分ではどうにもできないほど心が壊れてしまって、一時的な鎮痛剤を使うほかなかったのだ。たとえその後先送りにした苦痛が何倍にもなって跳ね返って来るとしても。

 心がおかしくなる時というのは、理性ではどうにもならない。頭でいくらクリアに全てを分かっていても、心はどんどん締め付けられていくし恐怖は取り除かれない。世界がひしゃげて急速に狭まって来るような感覚がある。小山田は小山田なりに、世界を元通りに押し広げようとしたろうと思う。でも小山田の手には余ることだった。一人でなんとかできることじゃなかった。息も出来ないくらい苦しいだろうな。どこへ逃げたって逃げ切れない。それこそ「小山田壮平」を辞めてしまわなければ逃げることは出来ない。だから辞めようとしたんだろう。アンディモリは大きくなりすぎた。

 小生はアンディモリの音楽は好きだが、はっきり言って小山田本人のことはあまり好きではなかった。どうにもあの目が嫌いだった。あの暗く光っている目が怖かった。でもあれは途切れがちのメーデーだったんだな。気付いてもおかしくなかった。精神的な限界は限界を超えて初めて自覚できる。「ああ。あの時のあれがシグナルだったのか」と思ってももう遅い。身体の傷が治癒しても、心が回復しなければ遠からず小山田は死ぬだろう。

 動かない身体の中で、明瞭なまま縛り付けられている小山田の心が心配だ。もっと壊れているかもしれない。家族や友人やまわりの人々は、彼に何と語りかけるのだろう。怒らないでほしい。大丈夫だ。大丈夫。お前はまだ生きている。お前は大変なことをしたと自分を責めているだろうが、そんなことはない。誰も怒ってなどいない。大丈夫。まだどん底ではない。大丈夫だ。長めの休みが取れたと思えばいいんだ。動けるようになったら何がしたい? また南へ下って高い山から夜明けをみてもいいし、今度は北へ行って氷を踏みしめてもいい。なんでもしたいことができるし、誰も何も言わない。お前が思っているほど、お前を知っている人は多くはないよ。大丈夫だ。大丈夫。したくないことはしなくていい。でもしたいことは何だって出来る。大丈夫。大丈夫だ。何も手遅れではない。大丈夫だ。大丈夫。そんな風に、誰か語りかけてはくれないだろうか。


  1. 2013/07/07(日) 12:19:58|
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