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東京それぞれ


 東京人が東京について歌った曲は面白い。東京という大きな街への反感、屈折した感情を歌っているのだとひとまとめにはできないほど各バンドの色が出ていると思う。という訳で今回はそのことについて書くつもりである。この場で挙げるのは4曲。他はあまり知らない。エレカシの東京観は東京人の東京観としては毛色が違って面白い気がするが、それほど聴き込んでいないので割愛。

 まずはくるりの「東京」。彼らのメジャーデビューを飾ったシングルだが、哀愁漂うメロディなのにそれで終わらないところがくるりだ。インディーズ版のアレンジはやり過ぎだ。苦笑 今の方がメロディが活きる力強いアレンジで個人的には好きである。一見素朴に見える歌詞ではあるが、そこにも強烈な皮肉が込められている気がする。岸田はひねくれ者だ。サビが熱い。

 メレンゲの「東京」はタルホ・イナガキのキネオラマ、不思議に透き通った青緑色の燈が潤む未来都市、きらきらした都会の夜景のようだ。クボは足穂なんか読むんだろうか。近未来的でちょっとレトロな音像はどうしようもなくロマンチックで、歌詞は都会の華やかさの裏の虚しさを描いている。サウンドワークは無機質なのに、クボのヴォーカルが堪え切れなくなったようにサビで感情を滲ませるのが印象的。

 しかし、上の二つもフジファブリックの「東京炎上」と比べたらかわいいものだと思える。あれはすごい曲である。歌詞は訳分かんねえことの羅列だし、サウンドも変態的で訳分からんが、畢竟志村は東京を燃しやがったのである。どれだけ東京が憎かったのかが分かりますな。こんな曲をインディーズ時代から温め続け、3rdで出した志村ははっきり言って気色悪い。しかし東京を燃すなんて最早フジにしか出来ない離れ業。参りました。

 こうして聴き比べていて思うんだが、どいつも愛郷心が強いんだろうと思う(特に志村)。こういう東京に対する幾ばくかの反発はその裏返しなんじゃないか。

 と言いつつ、BUMP OF CHICKENには「東京賛歌」というひねくれ切った曲がある。「嘘が多いとか 星が見えないとか 苦情の嵐 / 上手くいかない事の腹いせだろう」「嘘が多いのはどこでもだろう 星が見えたって どうせ飽きるだろう」と言い放つ。藤原は価値観を引っくり返す男である。厳しいんだか優しいんだか分からない男である。あの男の愛郷心は知らないが、いざとなったら故郷も捨てるだけの強さはあるだろうな。他の3人は無理そうだが。でも、千葉は東京近郊なのでそれほど反感を抱かないのかもしれないな。。。分からんが。

 まあこの4曲の中でどれが一番インパクトが大きいかって、それは「東京炎上」だろうと思う。多分邦ロックで帝都をめちゃくちゃにしやがったのは林檎さんの他には志村しかいないだろう。志村の頭の中はちょっと怖いので覗いてみたくない。






  1. 2011/03/20(日) 08:36:21|
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天才の生まれる条件


 原正彦の持論で、天才数学者の生まれる条件というのがある。第一に、神や伝統など何かにひざまずく心を持っていること。第二に、子どもの頃から美しいもののそばでそれを見て育つこと。第三に、芸術や宗教など役に立たないもの、精神性を尊ぶこと。以上である。例えばインドが生んだ大天才・シュリニヴァーサ・ラマヌジャンはヒンドゥーの神にひざまずき、古い美しい寺院が多く残るタミルナドゥ州で育ち、熱い信仰心を持っていた。

 ところで私はこの条件は音楽家にも当てはまるのではないかと思っている。特に美しいもののそばで育つというのが重要だと思う。藤原正彦もそう言っていたか。日本のロックバンドには当てはまるやつが何人もいるじゃないか。

 例えば、くるりは京都出身だ。ボーカルの岸田繁は京都市北区出身である。京都は古く、そして美しい街だ。キセルも同じく京都府の宇治市出身。京都は言うまでもないほど長い時に耐え抜いた美しいものがあふれている土地だ。京都出身の彼らの音楽はその奥に何か本能的に怖れを抱かせるような深く黒いものがある気がする。

 メレンゲのクボケンジは兵庫県宝塚市出身。彼の地元には聖徳太子ゆかりの名刹・中山寺がある。自然は多い所のようで、家の裏の山でよく遊んだと言っていたな。手塚治虫も宝塚で育っている。

 そしてフジファブリックの志村正彦。彼は富士山に抱かれた山梨県富士吉田市の出身である。日本を象徴するあの美しい山に見守られて育ったというのは、彼の作品に触れれば妙に納得のいく話だ。

 こうして挙げた人はみんな四季の移り変わりに敏感で、失われていくものの儚さと美しさを知っている情緒豊かな作品を作る。彼らの作品はむしろ文学であるとさえ思える。そうして彼らは謙虚でもあると思う。






  1. 2011/03/11(金) 10:39:28|
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フジファブリック presents フジフジ富士Q 15

 の樹々に囲まれたコニファーにはすでに夜の帳が落ちていて、昼間の熱気が嘘のように山特有の冷たい空気があたりに降りている。志村日記の一節を思い出しながら、若干の肌寒さに身震いして待ったのはくるりの登場である。

 小柄な岸田が全身であのリフを弾き出す。ご存知の通り、岸田はあれでかなりアグレッシヴなギタリストである。その姿が、少しだけ何年か前渋公でペールブルーのストラトを思い切り弾き始めた志村の姿と重なった。「Sunny Morning」。

 「GO BACK TO CHINA」や「LV45」なんて不気味な曲はあるが、正直岸田がこれほどのモノノケ声だとは思わなかった。志村とは全くタイプが違うが、ものすごい妖気である。志村が樹海の土俗的な妖気なら、岸田は百鬼跳梁跋扈する京の妖気である。SunnyでもMorningでもない。。この曲でこんなに爽やかさを消せるのは只者ではない。さすが京都人である。。。

 というか、先ほどからすさまじい違和感が。かとをさんが。。。いやに馴染みのあるテレキャスを弾いている・・・! フェンダーはフェンダーでも、あんたが弾くのはプレベでしょうが。かとをさんが佐藤社長に花を持たせたということは、うむ。次の曲は。。。などと考えつつも、かとをさんのギターから目が放せない。かとをさんのギター! それにしてもこの日のかとをさんの目立ちっぷりには志村も嫉妬していることであろう。それほど彼は目立っていたのである。あんなに優しい微笑みを浮かべてソウ君を見守っているように見せかけて、ぶっちゃけソウ君よりも目立っている! おみそれ致しました。

 次の「銀河」では岸田の読経声に圧倒される。社長がギターを弾いていると、なんかギターが小さく見えてしまうのはなぜだろうか。モノノケっぽい曲が歌えるアーティストは色々と考えたが、コウセイは『モノノケハカランダ』はギリギリセーフとしても、「銀河」だと少しふざけすぎた感じになるだろうと思っていた。岸田はちょっと意外だった。しかし、個人的に密かにフジQに呼んでほしかったのは山田将司(THE BACK HORN)である。いや、「銀河」意外と歌えると思うぞ。。。

 岸田は終始笑顔だった。「discord」で志村について語った彼の言葉、表情を私はまだ忘れていない。しかし、

「フジは今、日本一カッコいいバンドですよ」

曲間のMCでそう言った岸田になぜか微妙な気持ちになった。なんでかは最近分かった。フジ、前からカッコよかっただろ。。




SET LIST

くるり  「Sunny Morning」
      「銀河」







  1. 2010/11/07(日) 13:23:39|
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キシダ君観察記 学祭準備編

10月28日

 大変不本意ながら天文の準備である。大雨と強風の中、大量の荷物の搬入をやった。

 午前中は平部員ふたりで部長の悪口を散々言いながら、文芸部の部室に置いてあった天文の備品を校舎に運んでいたのだが、本校舎の廊下で陸上部らしき数人とすれ違った。その中にいた知り合いと「よー、久しぶりー」などと挨拶を交わして一行とすれ違おうとしたその時!

 私はキシダ君をその中に発見した!茶色のパーカーを着て、背後から前の友人を傘で狙撃していた。・・・私も前回の講義でその日の朝、しこたま足を踏みつけたことを友人に平謝りしたのを全部聞かれているので、この場合はとりあえずおあいこだぜ。。。

 ん? そういえばその時一緒だった平部員の友人も陸上部だったな。でもやつに訊いてしまうのは。。なんだか反則な気がするのは気のせいだろうか。。。 私は己の誇りを賭けて、キシダ君に挑むつもりである。。。キシダ君よ、また来週の「グローバリゼーションと世界史」で会えるのを楽しみにしているぜ!







  1. 2010/11/02(火) 17:25:02|
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Jubilee

近よく聴く。

穏やかでピースフルな狂気。穏やかで美しい絶望。

ゆるやかに振り切れてる。

正直、CMなんかで流しちゃいけないだろうと。




それにしても、テルミンいいよな。




  1. 2010/03/26(金) 22:06:05|
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